仮想化サーバーの故障の原因と復旧方法

2020-11-29
仮想化サーバーの故障の原因と復旧方法

仮想化サーバーの故障の原因と復旧方法|VMware等

サーバー性能の強化を行う場合、必要な台数を導入する必要がありますし、その分導入コストがかさむもの。そうしたサーバー増台の壁を取り払ってくれるとして多くの企業が採用しているのが仮想サーバーです。
 
導入コストや運用面でのメリットが多いので、拠点の拡張や規模の拡大を計っているのであれば、仮想サーバーの利用を検討しているのではないでしょうか?しかし、仮想環境を作るマシンが故障してしまった、またはデータが喪失してしまったなど、突然このようなトラブルが発生することがあります。
 
そこで、今回は仮想サーバーの使用でよくある故障の原因と、トラブル発生時にデータを守るための復旧方法についてご紹介していきます。故障原因や復旧方法を知っておくと大切なデータの消失を防ぐことができるので、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。
 

そもそも「仮想サーバー」とは?

仮想化技術の進歩により、最近では多くの企業が仮想サーバーを導入しています。そのため、自社にでも採用してみようと考えているところは多いと思いますが、そもそも仮想サーバーとはどのようなものなのかを知っていますか?
 
ここでは、まず仮想サーバーを利用する上で知っておくべき基礎知識をまとめてみました。知識不足のまま使用すると効果的な利用ができないので、まずは基礎について一つひとつ見ていきましょう。
 

サーバー1台で複数のシステムを稼働できる

一般的には物理環境であるサーバーが利用されていますが、この場合だと1台で1つのシステムのみを動かす使用になっています。そのため、サーバーを増やすのであればマシンの増台が必要になってしまします。
 
一方仮想サーバーの場合、仮想化ソフトウェアを使用して1台のマシンで複数のシステムを稼働させることが可能となっています。この場合、仮想環境を利用しているため、マシンは1台のままサーバーを増やすことができるのです。
 
つまり、仮想環境の中でサーバーを増設することができるので、物理的なマシンの増台が不要になるということです。ですので、増設をするにあたって新しいマシンの購入や設置場所の確保が不要になり、導入の壁を取り払うことができています。
 

仮想化に使用される手法は2つ

サーバーの仮想化には以下のような手法が使用されています。それぞれで特徴や性能が異なるので、どのような違いがあるのかを見ていきましょう。
 
【手法その1:ホストOS型】
ホストOS(Windows、Macなど)に仮想化ソフトウェアのインストールを行い、ゲストOSを動かすことができる仕組みとなっています。新しいアプリケーションを導入するような感覚で利用できるので、仮想化を手軽に行うことができる手法となっています。
 
しかし、この手法ではホストOSを経由することでサーバーにアクセスする仕組みとなっているので、複数のOSを同時に運用した場合は処理速度が低下するという弱点があります。そのため、パフォーマンスを下げないためにも運用方法には注意が必要になるでしょう。
 
【手法その2:ハイパーバイザー型】
サーバーへと直接「ハイパーバイザー」と呼ばれる専用のソフトウェアのインストールを行い、ホストOSを経由することなくその他のシステム を動かすことができる仕組みとなっています。
 
この手法の土台となるのはハイパーバイザーなので、動かしたいシステムを直接制御することで快適な処理速度を維持したままの運用が可能。しかし、既存のマシンによってはハイパーバイザーが非対応である場合があるため、事前に確認しておく必要があるでしょう。
 

物理サーバーと比べて導入メリットが多い

仮想サーバーを簡単に表すのであれば、物理的なサーバー内で構築されている物体のないソフトウェアです。つまり、物理的なリソースを持たずにサーバーを増設することができるので、導入コストを抑えることができるといったメリットがあります。
 
また、機器や部品などが劣化・故障した場合でも、リプレイスコストが抑えられるといった点もメリットの一つです。さらに、増設するにしても物理的なマシンの増台が不要なので、専用のスペースを確保する必要がありません。
 
使用するマシンが少ない分、ランニングコストや消費電力、さらにはシステム運用を管理する人件費など、あらゆるコストの削減の実現が可能になります。このように、仮想サーバーの導入にはさまざまなメリットがあるので、最近では多くの企業が利用していると言われています。
 

VMwareなどの使用でよくある故障原因

仮想サーバーは導入コストが低くさまざまなメリットがありますが、故障によるトラブルが発生することがあります。どんな機器にも故障はつきものなので、運用し続けているといずれ対面することになるでしょう。
 
そんな仮想サーバーの運用に関して、ここでは発生するトラブルの中でもよくある3つの故障とその原因についてまとめてみました。故障原因の判明ができれば適切な対処ができるので、運用している、または検討しているのであれば参考にしてみてください。
 

仮想HDDを削除、または破損した

基本的には、ハーディスクは物理的に存在する機器であることはみなさんもご存じのはず。しかし、仮想ハードディスクとは物理的に存在するものではなく、理論的に構築されている巨大なソフトウェアのことを言います。
 
そして、この仮想ハードディスクを誤って削除してしまった、または何かしらが原因で破損してしまった場合、その中で管理している保存データへのアクセスが不可能になり、データを使用した作業ができなくなります。
 
その原因として考えられるのは以下の通りとなっています。
 

  • ・構築されていたRAIDが崩壊している
  • ・仮想HDDの初期化を実行した
  • ・スナップショットを誤って削除した

 
削除や破損以外にも、このような原因でファイルへのアクセスができなくなることがあります。そのため、アクセス不可能といったトラブルが発生した場合は、ご紹介した原因に該当しないかを確認してみてください。
 

マシンが起動しない、またはエラーが発生する

次によくある故障には、マシンが起動しなかったりエラーが発生してしまったりなどがあります。このようなトラブルの原因として考えられるのは、仮想ソフトウェア上で何かしらの障害・不具合が発生していることが考えられます。
 
また、このような場合は仮想マシンの起動が可能であったとしても、保存データへのアクセスはできません。ちなみに、このトラブルは自分で対処しようとするとデータ消失の恐れがあるので、プロのデータ復旧業者への相談をおすすめします。
 

何らかの障害が発生している

サーバーやパソコンなどの機器でトラブルが発生する大まかな原因として、機器や部品などが物理的に故障したことで発生する「物理障害」、ソフトウェアの不具合や人為的ミスによって発生する「理論障害」というものがあります。
 
物理障害が発生すると専門業者でなければデータ復旧を行うのは不可能ですが、理論障害であれば復旧できる場合があります。しかし、障害が発生した状態で機器の使用を続けているとデータを消失する恐れがあるので、すぐに使用を中止することをおすすめします。
 

トラブル発生時に知っておきたい復旧方法

トラブルの原因が物理障害でなければ、以下のような方法でデータ復旧を行うことができると言われています。
 

  • ・エージェントレスバックアップ
  • ・専用ソフトを使用した仮想サーバー上でのバックアップ
  • ・ハードウェア上でのバックアップ

 
これらはデータトラブルが発生した場合に復旧を可能とする方法となっています。それぞれに共通しているのは、一度データのバックアップを取り、他の機器へとデータを移すことで取り出す仕様となっています。
 
ちなみに、仮想サーバーの復旧方法として勘違いされがちな方法として、「スナップショットの使用」というものがあります。スナップショットは、簡単に説明するとデータの全てではなく一瞬だけを切り取って、その切り取ったデータをイメージとして保存するといった機能となっています。
 
つまり、パックアップとは似ているものの、正確には異なる機能となっているので、スナップショットを利用してもデータ復旧ができないことは覚えておきましょう。
 

安全性と確実性を求めるならデータ復旧業者に依頼

トラブルが発生した際のデータ復旧方法についてご紹介しましたが、場合によっては復旧できなかったという場合もあります。また、原因が物理障害となると、そもそも自分でデータを復旧することはできません。そのため、大切なデータを取り出す上で安全性と確実性を求めるのであれば、プロのデータ復旧専門業者への依頼をおすすめします。